ビースト・レスキュー

『ビーストの世界』

 『ビーストの世界』は、世界で最初の未確認動物学者だった、故ファラウェイ教授が、世界中を探検したときに書いたメモをまとめた本で、自然界のビーストの観察記録だ。トロル・グリフォン・妖精・ドラゴンなど、あらゆる種類のビーストのひみつが書かれている。たとえば、妖精のかがやきをとりもどす方法や、ダーティラスのノミの取り方、ヘビ女ゴルゴンの身づくろいのやり方など、その内容は多岐にわたり、いろいろな図、絵、メモ、写真でいっぱいだ。
 毎回、物語の重要な鍵になっている『ビーストの世界』から、その一部を紹介しよう。

前書き

ビーストの世界 J.E.ファラウェイ教授

 この本を読まれる諸君へ
わたしは、ファラウェイ教授だ。いま、きみは、わたしが一番大事にしていたものを持っている。わたしが世界中をまわり、自然界のビーストたちを観察してまとめた記録だ。これには、きみがいままで想像さえしなかったことが書かれているだろう。まさにそれは、ビーストに関する秘密である。
 どうかこの記録を役立ててほしい。

オオカミ男

 オオカミ男はビースト人間の一種に属す。群れをなして生活し、外見は人間と似ているが、中身はビーストである。満月の夜になると、ビースト界の大いなる不思議により、完全に変身をとげる。人間のような二本足の体からオオカミの四本足の体に変わり、毛とツメがのびて、歯は牙に変わる。そして野生のオオカミになって遠ぼえをあげる。
 わたしは、いく度となくオオカミ男が川にとびこんだり、火の中にとびこんだりする勇ましい姿を目撃している。自分たちの群れを守るためには自らの命をかけて戦う。
 オオカミ男の縄張りを決して荒らしてはならない。その家族をおびやかしてもならない。そのようなことをしたときは、十分気をつけよ。わたしが思うにオオカミ男は、ビーストの中でも一番勇敢だ。

シェルバック・クラーケン

 シェルバック・クラーケンは、海洋モンスターの中でもっとも危険な生き物だ。海の底の真っ暗闇にすんでいる。主食はサメで、水中でえものの心臓のゆれを感じると、毒のある触角でおそう。毒によってえものの血はこおりつくが、これは「凍結睡眠」と呼ばれる。血がこおりついたえものは、生きたまま、その大きな口に飲みこまれる。

ゴブリン

ゴブリンはものを盗むのが得意だ。かげからそっとのぞきこんでは、くず肉やら、洞窟を明るく照らすピカピカの宝石やらを盗もうとたくらむ。ゴブリンは、自分が暮らす地下で起きたことをすべて見ている。ゴブリンはきたなくて、信用できないと思われがちで、めったに好かれることはないが、やさしくしてやると、必ず助けてくれるたよれる存在だ。ゴブリンはけっして友達のことをわすれない。

バンパイア

バンパイアは夜行性のビーストで、えものの生き血を吸う。バンパイアのえものは通常、襲われると死ぬため、邪悪なビーストだと誤解されているが、食性上の必要にかられているだけである。体内で血液を作れないからなのだ。中には、あばれたり命を落としたりすることなく、バンパイアに自分の血をあたえてやる貴重な動物の例もある。